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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
09月11日
20:52

旧日本軍 手榴弾

 日本の手榴弾の特徴は曳火時間が少し長いことでした。日露戦争以来の手投げ専用マーチン・ホール式着発榴弾の後継として開発された十年式曳火手榴弾はそれまでの着発式に代えて曳火式信管を採用しました。擲弾筒弾薬を兼ねるため曳火時間は約7秒に設定されました。初速の遅い擲弾筒で45度の射角で発射すると、曳火5秒では空中で爆発してしまうからです。
 満州事変、特に上海の戦闘では十年式手榴弾の曳火時間が問題となりました。中国軍の曳火5秒に対して、日本軍の曳火7秒は長すぎたのです。部隊からは曳火時間を任意に設定できるよう要求が出されました。しかし技本では「敵前で各兵卒が使用する武器にそのような巧妙な仕組みは実行不可能である」と却下しています。
 歩兵学校ではその戦訓に基づき、昭和11年に研究成果を発表しています。「突撃に際しては、突撃距離が手榴弾投擲距離(約30メートル)以内の場合、突撃発起位置で発火、3~4秒後に投擲、爆発と共に突入せよ。敵前40メートル付近の場合、発火と共に発進し、約10メートル疾走して手榴弾を投擲、その場に伏せて爆発を見て突入せよ。それ以上の場合、発火準備をして発進し、40メートル付近で発火、30メートル付近で投擲、伏臥、爆発後に突入せよ」と兵士に戦場でこんな名人芸が要求されたのです。
 支那事変で再度敵の手榴弾に苦戦を強いられると、さすがに大量に動員された新兵に「発火させたまま握って10メートル突っ走れ」とは言えず、九七式、試製九八式と手投げ専用の手榴弾が開発されます。次の九九式では小銃擲弾器兼用の甲と手投げ専用の乙が作られました。外見上の大きな変化は、弾体のギザギザ(滑り止め)がないことです。九九式は小型・軽量でしかも直径が5ミリ小さかったのです。九九式は軽い上に手の中で実に落ち着きがよく、取り落とす心配が少ないものでした。生産簡略化も兼ねて、滑り止めは廃止されました。曳火時間は甲で4~5秒、乙で4秒となりました。結果、歩兵は発火済み手榴弾を握って走る必要はなくなりました。
 …余談ですが、敵に手榴弾を投げつけられたら、拾って投げ返すのが有効な戦法だそうです。

コメント

2012年
09月11日
22:05

>敵に手榴弾を投げつけられたら、拾って投げ返す
アニメや漫画の世界の話じゃなく、実際に使える戦法なんですね!?Σ(´∀`;)

2012年
09月11日
22:28

2: U96

>ジョン・スミスさん
拾う兵士は生きた心地がしなかったでしょうね。彼には勲章をあげてもらいたいです。

2012年
09月12日
05:55

ある傭兵の著書によると手榴弾は投げ返そうとは考えてはならず、塹壕内に手榴弾が落ち込むようにミゾとスロープを掘っておくか、何の準備の無いときは手榴弾に足を向けて伏せるかするようにと書かれていました。

最近のフライオフレバーの付いたタイプではレバーが外れて3秒くらいで爆発するため、投げ返そうとしたら手の中で爆発しかねないんでしょうね。

投げ返す、というのは7秒で、敵が投げるときに3秒ほど待ってから投げる、ということをしなかった場合のの話でしょうね。

2012年
09月12日
06:01

4: U96

>鉄砲蔵さん
貴重な意見感謝致します。
いいかげんな記事を書いてすみませんでした。

2012年
09月12日
19:28

5: 退会済ユーザー

そーいや、ドイツだったかな? 投げ返し対策として、点火して少し経って投げるという方法があったらしいです。おぼろげな記憶ですが‥‥。

装甲騎兵ボトムズOVA「ビッグバトル」では、主人公が壁面に設置された砲台を破壊する(砲台の位置で空中爆発させる)ため、ピンを抜いて数えてから投げるシーンがあります。

2012年
09月12日
19:47

6: U96

>フロッガーさん
情報ありがとうございます!
…ドイツは初め、柄つきのポテトスマッシャー型手榴弾で、末期に卵型手榴弾になりましたね。曳火時間は1秒ほど長くなったようですね?

2012年
09月12日
20:11



サバイバルゲーム用にサイダー手榴弾というものがあり、いくつかのフィールドにて使用を許可しております。
ただ、曳火時間が不安定なのでどの程度実感できるか・・・

2012年
09月12日
22:06

8: U96

>鉄砲蔵さん
ほう!こんなものがあるのですか…非常に興味深く拝見いたしました。情報サンクスであります。