次でこのシリーズ最後で~す。
・ハルピュイア
彼女の世界では人間と翼人の2種族が戦争を行っている。
ごくごく平凡な女性がある日女の子を出産した。
更に後日女性は丘の上に捨てられている赤ん坊を見つける。
女性は2人の赤ん坊を大事に育てていたが、
成長するにつれ娘の1人の肩から翼の様なものが生え始めた。
毛におおわれてこそいないものの、
少しずつ隆起する肩部の骨は次第に服を着こんでも隠すことが出来なくなっていった。
次第に母親は気が狂い始める。
もし自分の拾った娘が翼人の子供だとしたら……
それはとんでもないことだった。
母親の様子を見かねた父親は遂に骨を切断することを決意する。
だが切断箇所を誤った為に娘は失血死してしまう。
その現場をこっそり物陰から見ていたのはもう一人の娘。
彼女こそが本物の翼人だったのだ。
・アルラウネ
盗賊の父と母をもった生まれながらの罪人。
心の荒んだ世界に罪人の子として生まれた彼女は、
常に暴力に囲まれて育った。
博打で負けたから、金がないから、腹が減ってるから、
目が合ったから、そこにいるから……
彼女は何も悪いことをしていないのに、
いつしか彼女は自身をもっとも罪深い者だと信じ切っていた。
常に自分を縛り付け、人に殴ってもらう。
それが生きている意味だと、
殴られることで許されるのだと思っていた。
ある日殴りどころが悪くて彼女は死んでしまった。
彼女にとっては死に掛けることなんて日常的なことで、
だけどいよいよ死んでしまうと確信したところで初めて彼女は
生きたいと願ってしまう。
彼女を縛っていた縄は血を吸う茨となり散々殴ってきた
者達を端から吸い尽くしていく。
ここへきて初めて彼女は罪を犯してしまったのである。
・ヴァンパイア
死にたがりの吸血鬼。
幼い頃から人間が好きで人間に混じって生きてきた。
だが彼女の特異な身体能力や異常なまでの回復力は
当然のように彼女が人間でないことを周知させる。
人は彼女を疎み、怖れ、孤独にした。
彼女は笑い続けた。
それでも人を助けた。
そして泣いていた。
ある時死んでしまいたいと思いあらゆることを試す。
身投、服毒、窒息、出血……何をやっても死ねない。
それ以来何もかもがどうでもよくなって…それでも人間を手にかけることなんて出来ない。
そんな彼女はもうただのヴァンパイアではないのかもしれない。