おたくMk2

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　第二次大戦前、ドイツはいち早く航空機の時代の到来を予見し、強力な空軍を建設するとともに、この兵種に対する防空戦の重要性も充分認識していました。早くも1940年９月９日、ヒトラーはベルリン防空のため、長射程の高射砲を備えた高射砲塔の建設を命令しました。
　高射砲塔は2～2.5メートルの厚さを持つコンクリート製の建造物で、全周にわたる良好な射界を確保するため高さは約40～50メートルあり、その頂部に12.8cmFlak44連装高射砲が装備され、上部の張り出しには2cm4連装Flak38機関砲が装備されました。
　砲塔内部には自立して戦闘できるように発電機や弾薬庫、人員の起居施設、井戸まで装備しているものもありました。
　高射砲塔は高射砲を装備したG塔（Geschutzturm：砲塔）と、対空射撃の精度を高めるため、ヴュルツブルクレーダーやマンハイムレーダーなど、高度な射撃指揮装置を備えたL塔（Leitturm：司令塔）がセットで建設されました。
　設計はアウトバーンなども手がけたD・F・タムス博士で、軍需省が建設にあたりました。これらの高射砲塔はベルリン中心部のツォー（動物園）、フリードリヒシャインシュタットとフンボルトハインに建設され、1942年春に完成しました。建設にはユーゴスラビア、ギリシャ、イタリアなどから集められた外国人労働者が従事したそうです。
　同様の砲塔はハンブルクやウィーンにも建設され、ハンブルクにはハイリゲンガイシュトフェルトとヴィルヘルムスブルクの２か所に、ウィーンにはアレンベルク公園、シュテフスカザルネ、アウガルテンの３か所に作られました。
　高射砲の有効射高は12.8キロあり、それぞれはオーバーラップして相互に支援できるよう配置されていました。
　高射砲塔は実際に交戦する機会はそれほど多くはありませんでした。記録ではベルリンのフンボルトハインの砲塔が32回、ウィーンの全砲塔で107回だっとあります。
　高射砲塔の自己防衛用の軽砲についてはドイツ空軍のフォッケウルフFW190戦闘機を追い回す連合軍戦闘機を追い払ったりもしましたが、間違って味方のメッサーシュミットBf-109戦闘機を撃墜してしまったというエピソードも伝わっております。
　皮肉なことに高射砲塔が最も激しい戦闘を行ったのは地上を進撃してくるソ連軍戦車部隊との交戦でした。
　…写真はウィーンのアウガルテンに現在も残るG塔です。1944年の夏に建設されたものです。