これを書いたのは多分高校1~2年生かそれ以上前だったと思う。もしかすると中学の頃かも。
読み返すのがあまりにも恥ずかしく長い事封印していたのだけれども、ノート自体がぼろぼろになり処分することにしたので、あえてデジタルな形で残すことにしました。
あくまで当時の原稿をそのまま書き写したものなので多少読みにくいところはありますが、良ければ暇つぶしにでもどうぞ♪
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~プロローグ~
……
…………
……………………暗い…ここ…すごく暗い……
それに……静かだ…………
……ん?……何だか息苦しくなってきたような……
…!?か、からだが…うごかない…こえも…でない!?
『……クククククク…クックックックックックックッ……』
何だ?笑い声が…!?これは一体…闇がいる…闇が……
…………………………
……………………
………………
…………
……
~1~
朝、そよ風が草木をなで、日が昇るとともに人々は目を覚ます。
――――ピピピピピピピピピピピ~
「…………んぁ?うぅ~ああもう、うるさい!!」
ここでも一人の少年が目覚めた。この少年、名を風倉技(かぜくら たくみ)といい、長年「技」というややこしい名前に困らされている14歳の中学二年生……というか、今日は彼の誕生日なのである。
ちなみに技の家は二階建てで、一階は主に生活スペース、二階は就寝スペースとなっていて、今、技は一階へと向かっている。と、技は階段の途中で立ち止まり、壁にはめ込まれた窓の向こうを見つめて呟いた。
「雨……か」
~2~
朝早くから黄昏た技はリビングへ行き、欠伸混じりに、
「ふぁ~、おはよう」
これに答えるは、幼さ残る少女の声。
「あっ、お兄ちゃんおはよう。ご飯できたよ」
この少女の名前は風倉美穂(かぜくら みほ)といって、技の実の妹だ。歳は13歳、技と同じ中学校に通う、兄想い(だが甘えん坊)な女の子。特異なことは勉強と料理だが、それ以外のことはほとんどダメである。
技の家族は、技を入れて、美穂と母と父の四人家族だ。さて、技の父と母は今家にいない。父は私立病院の医院長、母はその助手で、いつも病院に寝泊まりしているため、家に居続けることができないのだ。
「お誕生日おめでとう、お兄ちゃん」
「え、ああ、ありがとう」
キッチンから出てきた美穂は、楽しそうに朝食の盛られた皿を並べていく。
「プレゼントどうしよっかなぁ……」
美穂はわざとらしく呟いた。
「ねぇ、お兄ちゃ…」
「美穂……」
「えっ!?わ、わたし??……お兄ちゃんだめだよ…そんなこと……」
美穂は顔を朱に染めながら言った。
「えっ!?いや、そういう意味じゃ…」
「で、でも…お兄ちゃんがどうしてもって言うんなら……」
「だから待てって、俺はただプレゼントなんて要らないと言おうとしただけで……」
すると美穂は、ますます顔を赤くして、
「うううぅ…そんなぁ…わたしだけでいいなんて…恥ずかしいよっ…」
「……(そういう意味で言ったんじゃないんだけどな)」
何を勘違いしているのか、美穂はほっぺに手を当て、頭をふりふり、気の毒なくらいに真っ赤である。
「はぁ…美穂…」
「はぁうぅ~~恥ずかしくて頭がヘンになりそうだよ~~」
「美穂……美穂!!」
「は、はいぃ!?」
「美穂、よく聞くんだ。俺は変な意味で言ったんじゃない。俺が言いたいのは、いつも美穂には世話になっているから、プレゼントなんて要らないぞってことだ」
ほっとした美穂は、椅子に座りながら、
「そうなんだ…うん、良かったぁ、お兄ちゃんが変なこと考えてなくって……」
心なしか寂しそうに言う美穂に、しかし技は気づかない。なぜなら技はとてつもなく不器用だからだ……てか気づけよな!!美穂ちゃんちょっと寂しそうにしてるんだぜ!?
~3~
――――ピーンポーン……
技と美穂の二人が朝食を摂っていると、玄関のチャイムが鳴った。
「は~い、今行きま~す」
美穂は玄関まで走って行き、ドアを開ける。
「おはよう、美穂ちゃん」
美穂と同じ制服を着て、髪を腰まで垂らしているこの少女、名を澄川真由(すみかわ まゆ)という。真由は技の幼馴染で、美穂とも姉妹同然の仲である。実はこの少女、見かけは文系でおしとやかに見えるのだが、生活能力はゼロに近い。澄川家とは、真・澄川流という剣術を持つ家で、真由の家はその分家である。それゆえに、真由の家は本家と違った成長をしてきた。そして今は、真・澄川流(戒)と呼んでいる。もちろん真由もその後継者として、澄川流の全てを叩きこまれており、技もよくからかっては痛い目を見る。
「おはよう、お姉ちゃん。お兄ちゃ~ん、お姉ちゃんが来たよ~」
技は残っていた朝食を腹に押し込み、自分と美穂のカバンを持って玄関へ向かう。食器は食器洗い機が勝手に洗ってくれるし、弁当は美穂が入れておいてくれる。
「おはよう、真由。美穂、もうそろそろ真由を『お姉ちゃん』て呼ぶのはやめろ」
「ええ~、どうして~」
「おはよう、技君」
真由の声と美穂の不満が重なる。
「それは…教えてやらねぇ」
美穂はほっぺたをふくらませて、
「教えてよ~、いじわる~~」
技はそのふくらんだ頬をつつきながら言う。
「そんな風船みたいな顔しても教えてやらぬえぇっ!?」
技の後頭部に、ずっしりと重い一打が放たれた。もちろん犯人は真由である。
「ま…真由、何すんだよ」
真由は左手の手刀を構えたまま、
「美穂ちゃんいじめちゃダメ」
「わ、わかった。分かったからその手刀を下して、な、美穂って、あれ?み、美穂!?」
美穂はいつの間にか、真由の後ろにいた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃんはSだと思うの…いつもいつも、わたしのこといじめて…ぐすん」
「た~~く~~み~~く~~ん~~」
「な、何言ってんだよ!!俺はそんなことした覚えはないぞ!!美穂の言葉を信用するなぁ~!!」
技は無駄だと分かりきっているセリフを吐き捨てると、学校の方向へと走り出した。逃げるために…
「問答無用!!」
真由の全身からは、恐ろしいほどの怒気が放出され、殺気の塊と化している。
こうなった真由は止められない。得意の神速を発揮し、技が10mも走らない内に追いついて…技は手刀を喰らった。
~4~
真由の説教を聞きながら登校した技は、早くもローテンションモードに入っていた。技の住む天路市にある東天路中学は、後者が学年別に建てられており、それぞれが二階建てになっている。また、二階部分は橋渡しされた通路だ。学校は東と西に分かれていて、そのために、学校の生徒数は、三百人程度しかいない。
学年ごとに校舎は違うため、技たちは美穂と別れる…と、技の背中を誰かが叩いた。
いつものパターンならば、この人物は清水秋人(しみず あきひと)だが…などと思いつつ面倒臭そうに振り返る。
「よっ、お二人さん…ってなんだよ~その面倒臭そうな顔はぁ」
「気のせいだろ…」
「あはは、おはよう」
この三人、幼馴染とまではいかないが小学校からの付き合いである。
「おい、知ってるか?」
秋人は新聞部の副部長だ。それゆえにいつも正確な情報を早く仕入れている。
「何が?」
「今日は転校生が来るって話だぜ」
秋人の情報はこんなものではない。
「しかも俺たちのクラスに、女の子が、だ」
「ふぅん、で?」
真由がうながす。
「いやぁ、それがすごいかわいい娘だって話でさ、しかも二人」
「二人も?かわいい娘が?」
少しずつ盛り上がっていく技と秋人に真由はイライラする。
「……(もう、なんで男の子っていつもこうなの?)
技君、秋人君、早く行こうよ?」
話を終わらせるために、真由は校舎へ向かう。
「おっと、技にはもう必要のない話だったかな?」
「どういう意味だよ」
「どういう意味だろうな?」
技と秋人は真由を追って校舎へ入っていった。
~5~
東天路中学2-B。A~Dまであるクラスの中、このBクラスだけは妙に騒がしかった。秋人の情報がクラスに回りきっているためである。
秋人の情報は常に正確だ。副部長という地位が本当に似合っている。彼が「かわいい」と言えば本当にかわいいことを保証されたことになり、「二人」と言えば二人来ることを保証されたということになるのだ。
「しかし…すごい熱気だな」
「う~む、俺は自分が怖い」
自慢げにうなずく秋人に真由も技も冷ややかな視線を送っていた。
「ん?なんか視線が痛いなぁ、」
~おわり~
コメント
06月18日
12:36
1: ディジー@「本好きの下剋上」応援中
よく残っていましたね。
この先も ずっと取って置いてください。
06月18日
19:46
2: U96
・・・文章、うまいですね。
ここは続きを読みたいものです。
06月19日
08:20
3: 冷冷
>ディジーさん
はい、とっておこうと思います。
自分ではそこまで文章書くの上手くなったとは思ってなかったのですが、改めて昔のを見てると結構上達してるものなんだな~と実感できますw
>U96さん
上手い…ですかね?
かれこれ7,8年は前の原稿ですし。
個人的には文章のつなぎ方にかなり意味不明なところが多くて見てるだけで恥ずかしくなってきますw
一応この後どういう話にするかっていう方向性だけは覚えているんですけどねぇ。