おたくMk2

　大日本帝国は数多くの植民地を持ちましたが、朝鮮と台湾は国際法上、併合された領土であり、現代フランス風にいえば海外県に相当しました。
　どちらにも総督府が置かれました。総督は、明治憲法の適用を一部制限することができました。たとえば、国政選挙区は設置されませんでした。帝国議会における朝鮮人議員は10名程度で、それも貴族院に多かったです。
　反面、教育における機会均等は守られました。陸軍士官学校や帝国大学への入学差別は、国語（日本語）のディスアドバンテージという点を除けば、存在しませんでした。
　当初は、台湾人と朝鮮人が、単純労働者として内地に流入することが制限されていました。しかし1935年以降は「内鮮一体」の掛け声のもとで、かなりの朝鮮人非熟練労働者が内地にやってきました。
　二つの総督府は、太平洋戦争が始まってからも、台湾人と朝鮮人に、積極的な貢献を現地では求めませんでした。これをもって「差別」と騒ぐ向きもありますが、事実は総督府の役人が任期中のことしか考えておらず、任期中に地元民から反感を買いたくなかっただけでした。
　それにもかかわらず、多数の台湾人と朝鮮人が、一種の忠誠競争のような動機から帝国軍人や軍属に志願しています。
　徴兵令は、台湾の方が早く、1942年に施行されました。これは南方における作戦に適合していると判断されたためです。
　そして1944年には徴兵令と徴用令が朝鮮に施行されました。徴用の規定はハーグ陸戦規定にある徴税にあたる労務の供出のことです。この朝鮮人徴用について日本の検定合格教科書が「内地への強制連行」だったと書いていた時代がありました。2003年以降、そのような記述はなくなりました。
　徴用令にもとづく内地への労働力移入は、関釜連絡船が1945年３月から運行できなくなったため短期間で終了し、人数も僅かでした。
　終戦以降の在日朝鮮人と台湾人について、当初GHQは、少数の帰国勧告に従わない人々について日本国民とみなす政策をとりました。ところが朝鮮人の一部は、北朝鮮の成立をみて、暴力革命の好機ととらえ、関西でしばしが暴動事件を起こしました。
　これに対して、治安維持責任をもつ米第８軍司令官アイケルバーガーは神戸に非常事態宣言を宣言し、鎮圧しました。
　今日、「在日朝鮮人問題」はあります。が「在日台湾人問題」は存在しません。在日朝鮮人問題は、朝鮮半島の戦前戦後の経済困難によるものであって、戦時中の朝鮮とは関係は薄いです。
　現代韓国人はしばしば、第二次大戦において日本の侵略を受けたとか、中国とともに大きな惨禍を受けたと言い張ります。実際は枢軸国の占領下にあった諸地域のうち、チェコ、デンマークと並んで、韓国は最も戦争被害を蒙らなかったのです。
　南北分裂も、日本の国家意思とは関係がなく、連合国の戦後処理の方針により決定されました。ルーズベルト政権時代の米国指導層は、ソ連軍が戦後の独・日に対する共同警察官となることを期待し、極東において戦前よりも日本本土に近い場所にソ連軍が駐留し、統治を任される事態を歓迎しました。明治時代から極東各地を見て回り、地域の実情に通じていたジョージ・F・ケナンは、日本人と違って中国人や朝鮮人は近代化する見込みがないので、アメリカが無理をしてソ連から防衛してやる価値もないのだと冷戦初期に公言しています。