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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2019年
09月09日
21:58

89式重擲弾筒

口径:50mm
弾量:800g
重量:4.7kg
射程距離:670m

 擲弾筒はアメリカ軍が日本軍の兵器で唯一評価できるものと言っております。
 擲弾筒を装備していたのは世界の陸軍の中で日本陸軍のみで、他国では50mmまたは45mmの軽迫撃砲が大戦初期に使用されましたが、イタリア軍を除いて、威力不足を理由に使用中止になっています。89式重擲弾筒の最大射程は89式高性能弾薬を使用する場合で700メートル、91式手榴弾を弾薬として使用する場合には200メートルで、命中させるためには最低1カ月の訓練が必要でした。また、有効半径は10メートルで手榴弾の3倍程度の威力がありました。弾薬は0.56キログラムで、これを18発携行すると10キログラム以上になります。
 日本軍180名編成歩兵中隊は、3個擲弾筒分隊9門と弾薬324発を装備していました。この他に緊急時には91式手榴弾も発射することができたので、中隊の戦闘員173名の携行手榴弾692発を予備弾薬に使用可能であった計算になります。1分間に2名の擲弾筒射撃チームで40発、3門編成の1個擲弾筒分隊で120発、3個擲弾筒分隊で324発の89式高性能弾薬の発射が可能で、理論的には314平方メートル×324=10万平方メートルの地域を1分間制圧できたことになります。これは400メートルの戦闘正面で奥行き250メートル弱の面積を火力制圧できた計算になり、砲兵の支援が全くない状態でも相当の火力を維持できた計算になります。
 擲弾筒は命中率では軽迫撃砲にはかなわないものの、重量は3分の1程度であり、射程距離はほとんど同じで携行性に優れていました。射程距離が短いため、(例えば、ドイツ軍のMG34重機関銃の射程距離は2500メートル)重機関銃には容易に制圧されるが、重量5キログラムで機動が容易なため陣地変換することで、戦術的な優位を確保することも可能でした。
 擲弾筒の存在で、日本軍の歩兵師団歩兵大隊も距離700メートル以下での戦闘ではアメリカ軍の歩兵大隊と互角以上の火力を持っていました。擲弾筒は、中国戦線では中国兵の恐怖の的であったほか、沖縄戦では、アメリカ軍の機関銃分隊が擲弾筒の集中射撃で大損害を受けたとされています。対戦車戦闘の際には、89式重擲弾筒で煙幕弾を発射し、その影に隠れて歩兵が戦車に近接して、破甲爆雷や黄燐手榴弾で戦車を破壊する戦術が使用されました。
 89式重擲弾筒の装備定数はイタリア軍標準編成型歩兵師団に装備されている45mmM45軽迫撃砲の126門の装備定数よりも多いです。イタリア軍標準編成型歩兵大隊には、27門の45mmM35軽迫撃砲が装備されており、日本軍歩兵大隊の89式重擲弾筒36門の装備定数よりも少ないです。増加装備を行なっていた硫黄島の第109師団(380門装備)の装備密度は、1個歩兵小隊でも6門であり、ヨーロッパ戦線の基準で考えても強力な火力を装備していたことになります。ドイツ軍歩兵中隊と単純に比較した場合、大戦初期の50mm軽迫撃砲が装備されていた時期でも、ドイツ軍は1個歩兵小隊に1門、1個歩兵中隊で3門が装備定数であり、命中率という点を除けば、日本軍のほうが強力な歩兵支援火力を有していた計算になります。
 99式機関銃は、銃身交換システム、特に発射速度で、ドイツ軍のMG34/42には遠く及ばないが、ビルマ戦線等で戦ったイギリス軍のブレン軽機関銃の発射速度との比較では、約500発と互角です。イギリス軍歩兵中隊は、短機関銃を49帳挺装備しており、全く装備のない日本軍歩兵中隊との差は大きいです。イギリス軍歩兵中隊の短機関銃の装備数はドイツ軍歩兵中隊の28挺と比較しても2倍近いです。このためか、インパール作戦時のイギリス軍との戦闘記録では、短機関銃火力の差を指摘する日本軍兵士の証言が多いです。
 小銃の命中率は99式歩兵銃がまさっているものの、連射能力では毎分15発に対し、40発程度とイギリス軍のエンフィールド小銃のほうがまさっています。
 歩兵支援火力の2インチ迫撃砲と、89式重擲弾筒の火力では、日本軍のほうが圧倒的にまさっています。
 火力を距離別に分析すると、射程距離700メートルから500メートルまでは、イギリス軍歩兵中隊と日本軍歩兵中隊の双方とも2インチ迫撃砲3門による迫撃砲弾24発よりも約12倍強力な火力を持つ。ただ、命中率ではイギリス軍の軽迫撃砲のほうが高いです。
 400メートルになると、遠距離での命中率の高い99式歩兵小銃の火力と軽機関銃の火力が加わるので、日本軍は1分間に6570発の弾丸を発射することができます。イギリス軍は、遠距離での命中率が低いエンフィールド小銃とブレン軽機関銃の火力で1分間に約6300発の弾丸を発射することができます。ほぼ互角ですが、この距離になると日本軍の89式重擲弾筒の命中率が高くなり、また、イギリス軍の小銃火力は命中率が低いので、イギリス軍のほうが不利といえるでしょう。
 200メートル以下になるとイギリス軍は49挺のステン短機関銃が加わるので、日本軍の火力を大きく凌駕し、日本軍の6570発に対して9756発の弾丸を発射することができました。
 インパール作戦初期時のように、日本軍の補給状態がそれほど悪くない時期には、しばしば、日本軍はイギリス軍を圧倒するが、特に400メートル程度の距離における戦闘ではカタログデータ上、日本軍の火力のほうが優勢だったことがわかります。

コメント

2019年
09月09日
22:33

1: RSC

この武器は昔タミヤの日本兵のフィギュアに付属して形を覚えていました。「帝都大戦」で照明弾打ち上げにのみ使っていましたが、日記の内容で見ると怪人・加藤保典が相手でもこれを普通に撃ち込んでいればダメージがあったような気がします。

2019年
09月09日
22:36

2: U96

>RSCさん
はい。手榴弾3個分の破壊力ですので、ただでは済まなかっただろうと推察します。