ロバート・E・リーが南軍総司令官に就任し、南部連合首都リッチモンド前面にある軍の指揮を引き継いだとき、その主要な問題はマンパワーでした。フェアオークスの戦いにおいて、南軍の損失は10パーセントに及び(北軍は5パーセント)、空間的にも時間的にも追い詰められていました。北軍と互角の兵力を得るため、リーの目は、「石壁のジャクソン」が1万6千の軍を指揮しているシェナンドア渓谷に向けられました。
ジャクソンはすでに渓谷戦線で手一杯でした。北軍の三つもの軍を相手にしており、北軍の合計兵力は自軍の三倍近くにも上っていました。南軍にとっての望みは、ジャクソンがこれらの北軍の手を縛ったまま戦線を離脱し、麾下の軍を北軍のマクレラン総司令官への攻勢に間に合うようリッチモンドに移すことができるかどうかにかかっていました。
ジャクソンはすでにほとんど奇跡的ともいうべき離れわざをやってのけていました。三月下旬、カーンズタウンのナサニエル・バンクス少将がマクレランに援軍を送るのを阻止すべく攻撃をかけました。これは大胆な、向こう見ずともいえる行動でした。3千の兵で9千の北軍師団に当たったのです。ジャクソンは比較的たやすく押し返されましたが、この戦闘によってバンクスは首都方面への移動を延期しました。ジャクソンは北軍の大部隊をシェナンドア渓谷北部に釘付けにしておくことに成功したのです。
(つづく)