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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2018年
05月26日
04:09

【南北戦争外伝】愛の若草物語

 南北戦争ファンにとって通泣かせだったアニメが昔フジテレビ系列で放送していたハウス名作劇場「愛の若草物語」でした。原作はキリスト教色が濃いので、日本人になじまないと感じたスタッフが南北戦争を前面に押し出して制作しました。
 四姉妹らの家がゲティスバーグ近くの町(ゲティスバーグとチェンバーズバーグの間にあるFayettevillと思われる)という日本オリジナル(?)の脚色で、初回から8回までゲティスバーグ戦を直接絡めて描くという大胆さ。冒頭いきなり、末娘の通う小学校の担任が「先生は戦争に行くことにした」と言い出して、単に原作をなぞっただけの作品でない事を強烈にアピール(誰に?南北戦争ファンに?ちなみに以下の括弧内は劇中の驚くべき台詞)。
 四姉妹らの父親も原作では従軍牧師だったのに工兵大尉とされており、チャンセラーズビルの戦いで負傷したのか腕を吊って帰宅(「こうして休暇をもらえ、むしろ敵の砲兵隊に感謝したいくらいだ」)、父の帰還を祝ってピクニックに出かけた一家は南軍の偵察騎兵に遭遇し(「こんなに近くに南部の兵隊がいるなんて、もうビックリ」末娘)、電信でポトマック軍司令部に連絡(「昨年南軍はメリーランド州に侵入しました。どうしてこのペンシルベニア州にこないという保証があるのです」)。父は司令部に呼び戻され、町はゲティスバーグに向かう南軍に占領されます(「今までワシントンを正面から攻めて失敗ばかりしてきたから、今度は後ろから攻めてやろうとしてるんだわ」)。揚げ句、逃亡奴隷を地下室に匿って、南軍の1個分隊に家宅を捜索されるわ(「北部にいると思って、お前さん、なかなかの口をきくじゃねえか。いいか今に思い知るぜ。俺たちが合衆国をやっつけてリンカーンの奴を縛り首にした時には、黒人はまた奴隷になるんだ」)、南軍が敗走する際、町が焼かれて一家が焼け出されるわ(「こっちには来ないわ。こっちに来たらヴァージニア州には遠回りになるじゃない。攻め込む時は遠回りするかもしれないけど、逃げる時はすぐ逃げるものよ」)、一家が投資していた製靴工場が焼かれて無一文になるわ(「お父様の知り合いでジェームズさんのやっていらっしゃる製靴工場に・・・」に続けて「製靴工場って、靴を作る工場?」と聞き返させたりと確信犯的)で、原作無視の暴走ぶり(原作者が観たら、その場で息を引き取るだろう)。マサチューセッツ州に移住した後も、なにかと戦争に関する必要以上に詳しい描写が散見されて嬉しい限りです。(知り合いの新聞記者がピーターズバーグの塹壕戦の取材に行ったりする場面あり。「国に200ドル払って入隊免除になったはず」「戦争はこれからますます激しくなります。南軍は相当強力です。かわいそうだけどエドも必ず死にますよ」といった台詞も飛び出す)。これは是非、バンダイから出されている名作劇場DVDボックスで揃えたいところです。

コメント

2018年
05月26日
09:12

愛の若草物語
観てなかったです、こんなハードな展開だったのですね。

2018年
05月26日
09:21

コレ観れなかったので悔しい思いをしています。
「ロミオの青い空」とかも。

奴隷経済と近代経済が移り変わる狭間を思い浮かべて感慨深いです。

2018年
05月26日
09:55

3: U96

>櫻 弾基地さん
実は私は退屈して、視聴を打ち切ってしまったのです。見ていればよかった。

2018年
05月26日
09:59

4: U96

>ディジー@「本好きの下剋上」応援中 さん
私も視聴を打ち切ったことを後悔しております。

綿花経済しかなかった南部の経済格差はまだ完全には解消されていない実情です。

2018年
05月26日
20:43

5: RSC

調べてみると続編・・・ではなく「より原作寄りにした」若草物語 ナンとジョー先生という作品も後に放送されているのですね。

2018年
05月26日
20:56

6: U96

>RSCさん
はい。確かに日本アニメーションの制作でハウス名作劇場で放送されております。児童文学は儲かると言われた時代もありましたが、ネタが枯渇し、現在、日本アニメーションは「ちびまる子ちゃん」で食っております。最近、映画で「はいからさんが通る」の仕事があり、ほっとしております。