軍縮条約が失効して潜水艦に関する制限が撤廃されると、日本海軍では2000トンを越える大型潜水艦の建造が計画されるようになりました。
昭和12年(1937年)の軍備増強計画で、基準排水量2434トンの巡潜甲型潜水艦の建造がはじまりました。潜水艦隊の旗艦をつとめる大型潜水艦であり、これまでの潜水艦に比べ通信機能が格段に強化されました。また、司令部要員の乗組みを想定して居住区も拡大され、100名以上の乗組みも可能になっております。
空母ワスプを雷撃して沈没させた日本潜水艦一番の殊勲艦である伊19も巡潜型潜水艦です。巡潜型には甲型、乙型、丙型があり、乙型は甲型の旗艦施設を除いたタイプです。伊19もこの乙型で、昭和16年(1941年)4月28日に三菱重工神戸造船所で竣工されました。このほか横須賀海軍工廠、呉海軍工廠、川崎重工などで合計20隻の同型艦が建造されています。
乙型は旗艦設備を除いた関係で、基準排水量は2198トンと甲型より若干軽量になっております。魚雷発射管は6門と甲型と同じながら、魚雷搭載量も甲型より1本少ない17本。逆に魚雷兵装を強化して8門の魚雷発射管を装備したタイプが丙型です。
また、エンジンは同じ艦本式二号一○型ですが、水上速力は23.6ノットと若干早く、16ノットで14000海里の航続距離は少し短くなっています。性能ではほとんど変わりがないので区別は難しいです。
外見の違いは甲型にある前部の飛行機格納庫上の25ミリ機銃が乙型には装備されていない事です。乙型の対空兵装は、司令塔後部の25ミリ連装一基のみで、こちらも二基を装備した甲型とは違います。ちなみに乙型、甲型とも後部に水上砲戦用の14センチ砲一門が装備されています。
コメント
12月15日
02:29
1: あおねこ
こういうの見ると
ある意味日本って本当にすごいわって思うんですよ
12月15日
15:16
2: U96
>あおねこさん
かつて2000トンの排水量の潜水艦を20隻もつくっていたのですね。率直にすごいと思います。
12月15日
22:35
3: 咲村珠樹
……という訳で、1942年8月25日、自沈処分で沈みゆく空母ワスプ(CV-7)の最後の姿を捉えた貴重な映像をどうぞ。
火災は魚雷命中により、航空機用ガソリンに引火して発生したもの。
総員退艦で、海に飛び込んで泳いでくる乗組員の姿も映ってます。
12月16日
15:46
4: U96
>咲村珠樹さん
貴重な映像ありがとうございます。
確か日本製魚雷の射程距離を甘く見積もっていたアメリカ軍は、戦後、本当に伊19からの攻撃だったのか疑ったのでしたよね。