海大Ⅳ型潜水艦は、海大Ⅲ型b(初めてメートル法で設計された)と同じく大正12年度の補助艦艇建造費により建造されました。基本的には海大Ⅲ型bと同じ線図が使われています。
最大の相違点は前部発射管室の断面を縦長楕円形を円形に改めたことです。これにより前部発射管は6門から4門に減少しました。また主機(もとき)をズルツァー式からラウシェンバッハ式に変更しました。
海大Ⅳ型は、呉工廠で竣工した伊64以外の2隻、伊61・伊62は三菱神戸造船所で建造され、海大型としては民間造船所で建造される最初の型となりました。
船体の特徴
本型から徳川武定造船中将の円筒耐圧強度研究の成果が採用され、縦長楕円形であった前部魚雷発射管室の断面を円形に改めて耐圧強度を増しました。
これにより、円筒強度計算式が確立されて全潜水艦の安全潜航・深度が定められました。
しかし、円筒に改められた魚雷発射管室はスペースが狭くなり、魚雷発射管の減少を余儀なくされました。
搭載機関について
主機はドイツのマン社製ですが、第一次大戦後の国際事情を配慮して、同社と関係の深いスイスのラウシェンバッハ社を表面上の契約相手としたのでラウシェンバッハ式ディーゼルと呼ばれました。
このラ式ディーゼルは第一次大戦末期に大型潜水艦用に設計したもので、巡潜Ⅰ型に採用され、その製造権は川崎重工が獲得していました。
ズ式が採用後、色々トラブルが生じたのに比べて、ラ式は大戦末期に相当数製造されていて完成度が高く、殆ど改正はされませんでした。
この実績を買われて、ラ式が採用されたのですが、ラ式二號にも欠陥がないわけではありませんでした。
それは、回転数が毎分240~320回転の特定回転数域で強烈なねじり振動が発生する事です。
使用上、かなり不便であったし、静粛性にはかなりの問題があったのですが、防止策や回避方法を長年研究しても、満足出来る解決策は得られなかったようです。
水中用の電動機や蓄電池は海大Ⅲ型と同一でしたが、水中速度を増した為、航続力が30浬ほど短くなりました。
兵装について
魚雷兵装の減少に伴い、搭載魚雷数も海大Ⅲ型の16本から14本に減じましたが、6年式魚雷から89式魚雷に替り威力を増しました。
発射管は15式533ミリ3型に変更されています。
砲装については以前と同じ11年式45口径12センチ砲1門で、海大Ⅲ型と同じく背の高いブルワーク内に収められて、荒天時の浮上砲戦も考慮されていました。
コメント
11月29日
19:40
1: 来栖 聖良
なんか艦これに登場しそうな臭いが......
11月29日
20:36
2: U96
>シンクレア [sincrea]さん
伊61は衝突事故で沈んでしまったのですよ。多分、出ないかと思います。