戦闘陣地の前縁について
陣地を編成する場合、その陣地の前縁、つまり最前線はどのようなところに、どのようなことに注意して、設定すべきでしょうか。次に、陣地の前縁を設定する場合の留意点についてお話ししましょう。
一般的に言って、地形の強いところは前に張り出し、弱いところは後ろへ下げる、とされています。また陣地線の中央部に弱いところがある場合には、後方に下げるのが良いとされています。この場合、緊要地形につられて、陣地線を張り出して設定した場合、一般的には、著しく弱くなると考えられます。その理由は、陣地線中央部はまさに緊要地形と言えるところなのですが、このような突出部は、弾巣となりやすく、また左右の陣地との相互支援という点から考えても、適当ではないとされているのです。このように、陣地線の前地に緊要地形がある場合には、前進陣地を配備して、その緊要地形が過早に敵の手に落ちるのを防ぐようにします。またあえて弾巣を避けるやり方もあります。突出部は、敵の集中砲火の的となりやすく、注意が必要です。このような場合は緊要地形につられることなく、思い切って下げるのが良いとされています。
前進陣地
では、先に出てきました、前進陣地というものの考え方について、お話ししましょう。前進陣地とは、いわゆる主陣地(戦闘陣地とよばれる)とは異なり、戦闘陣地の前方にある要点を、敵に過早に占領されることを避けるために、あるいは、戦闘陣地の前線を欺瞞するために、配置される陣地のことをいいます。さて、この前進陣地と、戦闘陣地(主陣地)との相違について、明らかにしておかなければなりません。この前進陣地とは、戦闘陣地とは、戦闘陣地の強度を直接的に強化するためのものであり、戦闘の経過にともなって、これを放棄することを当初から予定している陣地なのです。こういう点が戦闘陣地とは異なるわけです。
(次回「陣地守備隊と予備隊」)・・・果たして何人の人が読んでくれるか?