「海大型潜水艦」とは、海軍式大型潜水艦の略称で、「海中型潜水艦」の沿岸防備用に対して、艦隊随伴可能な水上速力を持つ艦隊決戦時の補助兵力となる大型の艦隊型潜水艦のことです。
海大型潜水艦は、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型a・Ⅲ型b・Ⅳ型・Ⅴ型・Ⅵ型a・Ⅵ型b・Ⅶ型の9種類に分類されます。
伊51を海大Ⅰ型、伊52を海大Ⅱ型と呼ぶと共に、伊53からの15隻中、艦首日本型の4隻を海大Ⅲ型a、艦首ドイツ型の5隻を海大Ⅲ型b、艦首発射管室の断面を楕円から円型断面とした6隻を海大Ⅳ型と呼びましたが、後期3隻には各種新機構を採用し、これを海大Ⅴ型と呼びました。
この海大型潜水艦の歴史があらゆる意味で日本の大型潜水艦の基礎となっております。
それは、機関・兵装・船体形状・航洋性・速力・量産性に及ぶもので、後の甲・乙・丙型などの潜水艦の設計・量産体制などに大きな影響を与えていました。
そもそも、海大型潜水艦を登場させたのは、ワシントン軍縮条約で決められた主力艦の対米劣勢を補う為に考え出された対米作戦の「漸減作戦」によるものです。
これは末次信正海軍大将(昭和8年・連合艦隊司令長官)が第一次大戦中に提唱した「対米戦略としての漸減作戦の潜水艦隊の導入」がきっかけでした。
末次大将は、劣勢である日本の主力艦隊が決戦に入る前に、優勢な米主力艦隊に対して潜水艦攻撃を加えて、その兵力を漸減させる狙いから、それまでの海中型より大型で強力な魚雷兵装の装備と高速力、良好な航洋性、長大な航続力を持つ潜水艦の建造を軍令部に強く要望しました。
軍令部も対米作戦に関しては、漸減作戦が中心としていた為、末次大将の要望を取り上げ、大型潜水艦の建造に踏み切り、海大型が建造される事になりました。
コメント
10月07日
15:43
1: 退会済ユーザー
無知な発言をしますが、潜水艦による兵力漸減は、日露からの水雷襲撃の延長線上にある発想と考えていいのでしょうか?
10月07日
18:30
2: U96
>フロッガーさん
日露戦争時は潜水艦は敵の制海権下に果敢に侵入する弱者の兵器です。