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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2018年
05月20日
05:22

アメリカ南北戦争(その1)

 アメリカ南北戦争は奴隷解放のための戦争ではありません。なぜなら北軍のために兵は供出するが、奴隷制の方は保留にしてほしいと言った州もあったからです。南北戦争は南部の独立戦争です。リンカンが大統領になって、州は連邦を離脱することはできないと明確に発言したので、これを聞いた南部は自分達の大統領を立て、アメリカ連合国を名乗ったのです。

 「南北戦争(The Civil War)」はアメリカ合衆国が南部と北部に分かれて戦った内戦で、1861年から1865年までの5年間に両軍あわせて62万人以上の死者を出しました。これは今なお、ひとつの戦争における、アメリカ合衆国史上最大の戦死者数です(第二次世界大戦でも40万人)。
 南北戦争の原因は、西方の新しい領土に成立していく新規諸州を奴隷州(奴隷を使役する州)にするか自由州(奴隷を認めない州)にするかで、南北間の勢力争いが生じ、ついに国家が二つに分裂したことによります。
 それぞれ独自に発展してきた13の州が連邦を形成し、「アメリカ合衆国」として独立を勝ち取ったのが1776年の事。その後1810年代後半には、統一された憲法のもとに一つの国家としての自覚と国民意識が高まってきていました。
 だがその後、北部と南部で経済構造と奴隷への意識の差が大きくなり、それは激しい対立を生み出していきました。
 北部諸州では、イギリスの産業革命に刺激されて工業が盛んとなり、工業地帯が作られていく。商工業者が多く、先進的で自由な気風を好む性格が形成されていったのです。対して南部諸州は農業が主であり、特に大農園で黒人の奴隷労働力によって綿花栽培が行われ、保守的な性格が強く、地域共同体に密着した雰囲気を色濃く持っていました。そして農場主は奴隷を使って王侯貴族の様な生活をおくっていたのですが、これはアメリカ憲法の万民平等思想に真っ向から対立するものでした。
 1830年代、その差異から生ずる対立はどんどんエスカレートしていったのです。南北で主張の食い違う経済政策、奴隷制を法律で容認するか否か、自由州と奴隷州の数の均衡問題・・・。50年代に入ると議会では乱闘事件が起こり、やがて熱狂的な奴隷制廃止論者の一団によって連邦武器庫が襲撃されました。
 後に大統領になり「奴隷解放宣言」を発布するリンカンも「即時奴隷制廃止」などという事を考えていたわけではなく、むしろ「連邦が二つに分かれるくらいなら、奴隷制を容認した方がまし」とも思っていたのです。
 だが、南部人の不安は対立の中で極度に高まっており、もはや冷静な判断は不可能でした。
 1860年11月6日の大統領選挙で、奴隷制廃止を党是とする共和党からリンカンが当選を果たし、それを見た南部の7州は次々に連邦を離脱し、「南部連合(正式にはアメリカ連合国)」を結成しました。
 南北戦争が始まった時、ヨーロッパのすべての軍事評論家は、リンカン大統領は「不可能な仕事」に取り組んだ、と考えました。
 北部と南部連合を比べた時、北部の経済的優位は圧倒的でした。人口は北部が2200万人に対して南部は900万人。工業生産は4:1、食糧生産2:1でした。南部が北部に経済的なもので優越していたのは綿花だけでした。
 だが、それまでの歴史上、もっと不利な条件で独立を勝ち取ったケースはいくらでもあったのです。なぜなら独立を達成しようという側は独立を阻止しようとする側が疲れてしまうまで自分の領土を守りさえすればいいのですが、独立を阻止する側はその地域を完全に征服しなければ目的を達成し得ないからです。
 南部人は、まったく完全に「自分たちの生活を守る為に」戦うでしょう。だが北部人たちは、「連邦維持」や「奴隷解放」といった、どちらかと言えば曖昧模糊としたものの為に戦うというのです。士気の点でこの差は大きいです。
 1861年4月12日、南部に残された形となった連邦側のサムター要塞への攻撃が始まりました。36時間後に要塞の守備隊は降伏。ここに、5年間に及ぶ南北戦争の火蓋が切られたのです。

(つづく)

コメント

2018年
05月20日
10:41

1: 退会済ユーザー

>第二次世界大戦でも40万人

せやかて第二次世界大戦のアメリカの参戦は
遅かったし日本(日中戦争)やドイツと同じくらい
に参戦してたら南北戦争くらいの戦死者いってたん
ではなかろうか・・。

ただ第一次世界大戦の頃にやっと戦争は近代化
され効率的に人を殺せるようになったと言われてる
のに南北戦争の頃に戦死者60万人だなんて
かなり大規模な戦争じゃないか・・まあ現代の
GDPでもアメリカ一つの州に日本やイギリスが
負けてるし普通にありえるのがなぁw。

2018年
05月20日
12:58

今日のダジャレ
リンカーンが林間学校にやってきた!!

2018年
05月20日
17:05

3: U96

>シュタイナーさん
ボードゲームの関係者は世界初の近代戦は日露戦争と言っています。自衛隊は砲兵の出現を持って近代的戦争と教えているそうです。理由は砲兵はひとりでは運用できないからだそうです。今日、ボードゲームの会があり、南北戦争のシャイローの戦いをプレイしてきました。シャイローの戦いもいずれ日記で書くかと思います。よろしくお願いいたします。

2018年
05月20日
17:09

4: U96

>櫻 弾基地さん
あっ!先に言われてしまいました。

2018年
05月20日
20:35

5: RSC

昔プレイしたPCゲーム「ティラムバラム」は、舞台が南北戦争後すぐのアメリカなのですが、主人公の仲間に元南軍の兵士という珍しい設定のキャラが出てきます。北軍を成り上がり者の集団として忌み嫌って南軍に参加しますが、そちらも高所得者の古い集まりでしかなく、理想を裏切られて酒浸りになったという設定でした。

2018年
05月21日
04:52

6: U96

>RSCさん
そんなゲームがあるのですか。それはロールプレイングゲームですか?

2018年
05月21日
12:38

7: RSC

西部劇にクトゥルフ神話要素を盛り込んだ、ライトスタッフ社のRPGゲームですね。
舞台がアメリカではありますがドリームランドも旅したり、ニャルラが暗躍していたり、彼の天敵である存在も登場したり、「忌まわしき狩人」による追跡もあります。

2018年
05月21日
15:08

8: U96

>RSCさん
よく分かりました。詳細情報サンクスであります。

2018年
05月22日
20:07

フォスターの音楽が好きなのですが、彼も南北戦争で人生を狂わされた一人で、戦死した人だけでなく、人生を大きく捻じ曲げられた人は多くいるのでしょうね。

リンカン大統領が暗殺されたのも どんな理由にゆるものか!?

2018年
05月22日
20:19

10: U96

>ディジー@「本好きの下剋上」応援中さん
はい。南北戦争に幻想を抱いて人生狂わされた人々は多いです。
南軍に黒人部隊はありましたし、彼らが参戦することでどんな権益が約束されていたのかわかりませんが、南北に分かれて義勇兵として参戦したアイルランド兵がかわいそうですね。彼らはこの戦争で名を上げて、ゆくゆくはイングランドに宣戦布告をして独立しようと考えておりました。

リンカンを暗殺したのは南部の黒人俳優でしたね。

2018年
05月28日
07:10

たんにシビルウォーといえば南北戦争を指すはずなので、アメリカにとってこの内戦がいかに大きな意味を持つのかわかる気もします。

(書き込もうと長考してたらログインが切れて、文章ががが~。端的にします☆)

2018年
05月28日
16:36

12: U96

>闇従(あんじゅ)さん
こんにちは。私も長考しますので、ウィンドウズのメモ帖に書いてからコピペしております。コメントありがとうございました。これから宜しくお願い致します。

追伸:壬申の乱もボードゲームでシビルウォーと翻訳されました。