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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2013年
11月24日
20:39

潜水艦目標運動解析

 目標運動解析(Target Motion Analysis,TMA)とは、魚雷を目標に命中させるため、コンピュータ(指揮管制装置)と人間(作図関係員)が、目標(的・テキと言います)の針路・速力・距離を算出する手順をいいます。
 潜水艦の襲撃方法には、潜望鏡襲撃と聴音襲撃があります。実際の場面では、潜望鏡または聴音機(パッシブ・ソナー)を併用することが多いです。たとえば、潜望鏡襲撃の途中で全没して聴音襲撃に移行したり、逆に聴音襲撃の最終段階で露頂し、確認のため潜望鏡で観測をするといった手法です。

 潜望鏡襲撃(Periscope Approach)を説明しましょう。潜望鏡で得られる情報は、主として方位・距離・方位角です。
 距離は、潜望鏡に刻んでいる目盛(ミル値:円周を6400等分し、1キロ先で1ミル変化すると1メートル変化します)またはスタディメーターで測定します。いずれも目標の高さを使った三角法の原理によってです。目標高は前もって分かっていることが前提です。ですので平時からデータを収集しておき、データがなければ当面は推定値を使います。現代では、レーザー測距が可能です。しかしながら、眼高の低い潜望鏡では、測距範囲が限定されます。
 方位角は、艦長の腕がよければ、正解に近い的針(目標の針路)が得られます。
 的速(目標の速力)は、推進器の回転数(ターン・カウント)や艦(船)首の波切りから見当がつきます。あとは作図員が算出します。
 (聴音襲撃は次回)

コメント

2013年
11月24日
20:51

>>聴音襲撃の最終段階で露頂し、確認のため潜望鏡で
この一連の行動は大戦時代の潜水艦映画でよく出てきますネw やはり最終的には人間の目で確認するのが最良なんですかね(´・ω・`)  

あとピンガーを打つことって実戦で実際にあるんでしょうか? 隠密行動が原則の潜水艦が自艦の存在を露呈してしまうのでは自殺行為のように思えます・・・敵艦を探知したり距離を測るのはやはりアクティブソナーを併用するのが効果的なんでしょうか??

2013年
11月24日
21:26

2: U96

>もぐりん。さん
実は潜望鏡の必要性はだんだん無くなっていると大塚好古氏が書いております。聴音襲撃は熟練が必要なので、自信がないときに潜望鏡で確認するのではないかと私は考えます。

ピンガーはどうも現代では敵への警告に使うらしい事が以下にあります。アクティブソナーは進化し続けているので、リスクとはかりにかけて使用します。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q...

2013年
11月24日
21:39

ここで大事になるのが、自分の姿勢を維持する基準となるジャイロですね。
潜水艦用に開発された3軸ジャイロが、その後水上艦に使われるようになり、現在はジャイロの情報は射撃管制装置に接続されて運用されています。

なので、現在のジャイロは航法に使われているから航海科が運用してるかと思いきや、実は船務科の電測員(レーダーを扱う職種)が担当する機器になっているのですよ。

2013年
11月24日
22:03

4: U96

>咲村珠樹さん
おお!助け舟感謝致します。
現代戦では咲村さんにはかないません。

2013年
11月24日
22:21

なんか今の戦闘艦・潜水艦は、ジャイロからの情報を基にして、目標をロックオンしたら自動的に主砲や魚雷発射管が追尾し続けるそうですよ……。

海上自衛隊の砲雷科の人が
「10式戦車の主砲がどんな姿勢でもずっと目標を狙い続けるってスゴい! って言われますけど、護衛艦の主砲はずっと前から、波に揺れても自動追尾する機能がついてるんですよ」
と、こともなげに言ってました(^^;

2013年
11月24日
22:27

>>U96さん
>>咲村珠樹さん
解説ありがとうございます^^ 勉強になりますw
イージス艦の主砲が目標を自動的に追尾する映像を見たことがありますが、驚きました(笑)スゴイ技術ですね(´・ω・`)

2013年
11月24日
22:33

7: U96

>咲村珠樹さん
それはすごいですね。
砲戦の場合、現代、何キロまで有効なのでしょうか?
大戦中は3キロを超えると水柱が観測できないので、弾着の修正ができないと大塚好古氏が言っておりました。観測機を飛ばせば、また別のようですが・・・

2013年
11月24日
22:40

8: U96

>もぐりん。さん
砲弾はまっすぐ飛んでいかず、放物線を描いて飛んでいきます。よって、近くの目標は砲の角度を下げ、遠くの目標は砲の角度を上げる必要があります。よって、正確に目標との距離を測ることが必要でした。

2013年
11月25日
00:11

20kmくらいが有効射程ですが、実際には15〜16km辺りですね。
今は射撃管制用のレーダーがあるので、これによって弾道も自動計算され、それに即した仰角をとることができます。
昔の観測気球(観測機)と測距儀を利用した測定法に較べると、非常に楽になってるそうです。

ただ、基本的に水上艦同士の砲撃戦は現実的でないとして想定しておらず、むしろ航空目標の迎撃用として現在の艦砲は考えられています。
昔の巡洋艦などに採用された「兼用砲」と同じですね。

ようやくユトランド沖海戦の教訓が浸透したというところでしょうか。
http://otaku-mk2.net/diary/30455

対艦ミサイルが数100kmのレンジを持っているので、砲は自衛兵器という位置づけと言っていいでしょう。
「砲撃戦になるレンジまで敵を呼び込む時点でダメですね」
とは、とある護衛艦の砲雷長さん。

2013年
11月25日
17:09

11: U96

>咲村珠樹さん
現代ではそんなに遠くから戦いが始まるのですか・・・驚きました。解説ありがとうございました。

2013年
11月25日
19:11

>>U96さん
>>咲村珠樹さん
ありがとうございます、興味深い情報です、

>U96さん
警告のためのピンガー・・あえて戦いを避ける戦術なんですね、漫画「沈黙の艦隊」の中でこの通りのシーンがあったんですが、実際にあるんですね、

> 咲村珠樹さん
これは・・76ミリ砲ですか?こんなに連射できるんですね、自動装填されるところを見てみたいものですw 砲身から出ているのは水ですか?砲身を冷やしているんでしょうか??
.

2013年
11月25日
19:14

あ・・タイトルにOto Melara 76mm って記載が、76ミリ砲でしたね(;^_^A もっと良く見ます orz

2013年
11月25日
19:47

>もぐりんさん
オートメラーラ・76mm砲です。
これはノルウェー海軍のフリゲートに搭載されたものですが、全く同じものが海上自衛隊の護衛艦(はつゆき型・あさぎり型・むらさめ型)などに採用されており、最もポピュラーな艦砲です。
最大発射速度は120発/分。ほとんど機関砲です。
砲身過熱を防ぐ為、水冷式になっていて、海水が使われています。
日本の護衛艦の場合、砲塔下部の弾倉に150発装填されていますね……飲料のボトリングマシンのように縦型回転式の弾倉です。
最新のあきづき型には、アメリカのこちらの5インチ砲が使われています。
誰かが中にいるように、薬莢が放り出されていきます(^^;


昔の戦艦の主砲射撃は、こちらの海兵教育用フィルムをごらんください。