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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2013年
04月13日
22:00

ガピー型潜水艦

 第二次大戦末期、ドイツも日本もXXI型Uボートや伊201型など水中高速潜水艦の実用化に進みました。それを受けてアメリカも戦後、潜水艦の水中機動性の強化をはかりました。その結果、ガピー型潜水艦が生まれました。
 Guppy(ガピー)とは小さな熱帯魚の名前です。アメリカでは魚の名前を潜水艦の艦種名にするのが慣習です。Greater Underwater Propulsive Power Conversionすなわち「水中推進力強化改造」の頭文字をとってyの字を付け足し、Guppy-Conversionとよんでおります。
 ガピー型は在来艦の改装からはじまりました。改装の第1群は1946年から48年の予算による24隻でした。その内容は
 1)シュノーケルの装備
 2)新式強力な電池の換装
 3)艦橋構造物と潜望鏡、レーダー・マスト、シュノーケル給器筒、排気筒などを塔のように高い流線型のカバーで包み、水中抵抗を減少する。
 4)水上航走性能を犠牲とし、砲・機銃を全廃して上甲板の幅を著しく狭くし、艦首を丸くして水中抵抗を減少する。
というものでした。
 シュノーケルはドイツと日本では使用中は4ノット位で潜航するものでしたが、アメリカのシュノーケルは遥かに大規模のものになり、4台の1800馬力ディーゼル機関のうち2台まで使用でき、潜望鏡深度で10ノット程度で航行できました。
 シュノーケル深度、つまり竜骨の深さ50フィート前後では潜望鏡もレーダーも使用でき、無線の通信も可能でした。
 
電池はガピー・タイプ・バッテリーと呼ばれるもので、その容量が大きいだけでなく、在来型の最大放電率が1時間程度で全電力を放出するのに対し、これを30分で放電できるものにしました。
 従って短時間により大量の電力を放出するので、モーターの馬力は遥かに強大になり、全潜航における最大速度は改造前10ノットだったのが15ノット以上に増大しました。

 在来艦が、その水上部分の船体を船形として艦首を高くし、艦首の舷側にフレアを付けて波切りをよくしているのは水上を高速で航行するためです。艦首部の船体が上開きの断面をもっているので、水中で高速を出せば、自然と艦首がもち上がり気味になります。それを抑えるには潜舵を下げ舵にとってダウンをかけて航行しなければなりません。

 また上甲板が広いと、その内側に包囲されている海水はことごとく艦と共に走ることになり、それだけ排水量が増したと同じことになります。上甲板が広いのは水上航行中の便利や砲戦のためです。となれば、上甲板の幅を狭くして、上部構造物の容積や、摩擦抵抗の原因となる表面積の縮少がはかられるべきです。

 司令塔の上方には、第二次大戦前までは潜望鏡と引き込み式の短波檣(たんぱしょう)および信号檣があったのですが、それが更にレーダー・マストや直径の大きいシュノーケルの給排気筒もそれぞれ高くそびえるようになったので、全部をひっくるめてセイル(帆)と呼ばれる流線型断面をもつ塔の中に入れました。

 このように大戦の戦訓をとりいれたガピー・タイプは十分な成功を収め、世界中に広がりました。日本が戦後、建造した「おやしお」もこの系列と言っていいかと思います。

コメント

2013年
04月14日
00:21

ご参考までに、GUPPYプログラムを適用された潜水艦、シラーゴ(SS-485・テンチ級)、タスク(SS-425・バラオ級)、ハーフビーク(SS-352・バラオ級)、アイレックス(SS-482・テンチ級)の運用風景です。
シラーゴとハーフビーク、タスクはGUPPY IIプログラム適用艦、アイレックスはシュノーケル等のシステムのみ改修された艦みたいですね。


その後タスクは1973年、台湾海軍に売却されたとか。

2013年
04月14日
10:13

2: U96

>咲村珠樹さん
興味深い動画ありがとうございました。
セイルの形状がよくわかりました。
それにしても、司令塔内は狭いですね。これも水中抵抗減少のためでしょうね。