インド方面の敵情の確認に苦慮していた南西方面艦隊司令部は、大本営の特命により「よ」輸送（インド人要人をインドに潜入させ、内部攪乱を行う）のため、一時同艦隊に編入されることになった伊26潜が、インド洋、アラビア海に行動することになったので、洋上燃料補給装置をもつ同潜水艦から851空第艇に燃料を補給し、インド西岸、特にコチンを偵察させることを計画しました。
伊26潜は、聯合艦隊電令作第790号（11月７日発令）により同15日付で南西方面潜水部隊に、更に11月25日八潜戦に編入され、12月４日ペナンに進出しました。
伊26潜は12月８日出港、16日マルダイブ諸島ミラズミ環礁において二式大艇に対する燃料補給に成功しましたが、飛行艇は長濤（ちょうとう）のため離水に失敗し、この作戦は不成功に終わりました。
搭乗員を収容、飛行艇の銃撃処分を行った同潜は、要人揚陸地カラチ方面に向かい、12月21日夜カラチ飛行場南東約20浬の海岸に隠密接近、ゴム浮舟２隻をもって電信機、小型兵器とともに要人12名を揚陸しました。一行は陸岸に到達（距離約2000メートル）、「よ」輸送は成功しました。
なお、インド人特殊工作員の輸送は、その後も伊26潜によって１回（10名、カラチ西方パキスタン海岸）、伊166潜によっても１回行われていますが、２回目、３回目のものは上陸後すぐに発見され、目的を達しなかったようです。
