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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2014年
01月06日
20:09

【補遺】陣地防御と機動防御

 陣地防御とは、陣地によった阻止火力を主体として、敵の攻撃を破砕し、防御の目的を達成しようという防御方式です。つまり、防御部隊の主力を陣地に配置し、その火力で敵の攻撃を破砕しようという考え方による防御なわけです。それに対して機動防御は、陣地による阻止は主体と考えず、機動打撃によって、敵の攻撃部隊を撃破することにより、防御の目的を達成しようという防御方式です。つまりこちらの方は、敵が攻撃前進によって、不利な態勢に陥ったところで、機動打撃部隊による反撃を行ない、それにより敵の攻撃を破砕してしまおうという考え方の防御なわけです。
 なお、この陣地防御、機動防御はそれぞれ固定的に用いられるものではありません。あくまで防御を行なう場合の、基本的な考え方の違いなわけです。従って、その防御を行なう際の状況や地形によって、変形、複合させた形で用いられることは、言うまでもありません。
 では、実際の防御戦闘において、陣地防御、機動防御、いずれの防御方法を選択すべきなのでしょう。
 まず、その防御の任務という面からみると、任務上絶対的に保持しておかなければならない要点がある場合には、陣地防御が適当と考えられます。機動防御においては、その戦闘の推移が急速かつ、流動的になるので、要点を保持するという任務には向いていないといえるからです。反対に陣地防御では、特定の地域を確保し続けるのには向いているというわけです。
 次に、防御を行なう地域の地形という面からみた場合はどうでしょう。この場合には、防御を行なう地形に、天然の抵抗線が存在する場合、また、地形が敵の機動力発揮を制限するような場合で、かつ我(防御側)の機動力発揮も制限されるような場合には、陣地防御が適切とされています。それに対して、防御戦闘において、縦深による十分な地域を用いることが可能な場合で、地形が我(防御側)の機動力発揮に有利であるような場合には、機動防御が適当と考えられています。つまり端的にいうならば、原則として、地形がラフな場合には陣地防御、地形がフラットな場合には機動防御が良いというわけです。もちろん、一概に决めつけることは危険なことですから、その他の点も考慮に入れて、防御方式を決定しなければならないことは言うまでもありません。
 では、その防御戦闘に用いる部隊という面からみてみるとどうでしょう。我(防御側)の部隊が比較的機動力が小さい場合には、当然、陣地防御が適切になります。反対に、我の機動力が敵より優れている場合には、機動防御が良いというわけです。また、防御せねばならない担当正面が、使用できる部隊に対して、過大な場合がありますが、このような場合にも、機動力がある場合には、機動防御が有利とされています。
 次に、防御戦闘を行なう準備のための時間という面からみるとどうでしょう。陣地防御においては、言うまでもなく陣地を構築するわけですから、防御のための十分な準備時間のある場合に向いているわけです。反対に機動防御は、陣地防御を行なうために必要な準備時間がない場合にも、行なうことが可能というものです。
 以上のように、防御方式の選択決定においても、その状況を多角的に判断するということが、必要というわけです。