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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2013年
12月01日
20:32

潜水艦魚雷射法

 日本海軍の潜水艦用魚雷は、すべて直進魚雷でした。その射法は、目標に対しては、艦種、単艦・編隊の別、長さ・吃水、針路・速力・距離などを、自艦には、発射雷数、雷速・魚雷航走深度、発射順序、時隔(最終観測時から発射までの秒時)、開度、射進角を決定して、最も適切な効果を得るための散布帯を構成しました。
 発射雷数は次の事項を考慮して、2本以上とするのが普通でした。
 ○目標解析の誤差
 ○目標の回避運動
 ○魚雷の偏斜(設定針路からそれること)
 ○大型艦船(魚雷1本では撃沈の可能性小)
 この場合、魚雷ごとに2度か3度ほどの開き(開度)を調定し、扇形に発射して目標を捉えます。ちなみに距離1000メートルでは、開度2度で33メートル、3度では50メートルの開きになります。
 以上の要素は、目標の状況によって異なるので、そのつど計算している余裕はないので、あらかじめ状況を大別して射法計画を立てておきます。これは的速ごとの十数組の表で、一組の表は目標の方位角10度ごとに対して、距離500メートルごとの命中照準角(射角)を作図で測定して作成します。コンピュータのない時代のことで、多大な労力と時間を要する作業でした。
 日本海軍潜水艦は、魚雷発射指揮装置として、主に九二式方位盤改一を使用しました。これは歯車式の計算機で、潜望鏡の方位は自動的に入力されました。発射時機が近づいた時、1分以内の任意の秒時を設定すると、その秒時後の対勢を計算し、それに対する斜進角を表示しました。つまり彼我の対勢を連続的に表示し、潜望鏡観測のつど実際の方位と比較し、的針・的速などを修正するという機構にはなっていなかったのです。それでも、従来の襲撃運動を著しく容易にし、命中率を向上させました。
 残念なのは、商船に対する発射雷数が1本に制限されていた事と、有名な95式魚雷(酸素魚雷)が、浅深度発射法が実用の段階に達していなかった事です。

コメント

2013年
12月02日
01:17

U96さん、こんばんはw この記事面白いです。扇形や開度、魚雷1本発射するのに必要な情報や設定などがあるのはある程度は分かっていましたが、歯車式の計算機?潜望鏡の方位を自動入力? 知りませんでした^^
発射までの時間をいかに短縮するかとか、命中率の向上とかを知恵を絞って考えられていますね(´・ω・`) 当時の技術ではホーミングなどの自動追尾装置などの実用化は難しかったのでしょうか??

2013年
12月02日
21:00

2: U96

>もぐりん。さん
実はドイツが音響ホーミング魚雷を1934年から開発を始め、1943年に実用化しております。この年は日本の伊8潜がドイツとの往復に成功しております。たくさんの技術提供があったのですが、音響ホーミング魚雷の提供がなかったのが残念です。以下の日記で連合軍にブヨと呼ばれたのがそうです。ドイツでの名称はミソサザイ(鳥の名前)です。
http://otaku-mk2.net/diary/1753?comment_count=6