おたくの為のSNS おたくMk2

U96さんの日記

(Web全体に公開)

2013年
03月27日
20:06

機動防御について(完結編)

 では次に、実際の機動防御戦闘が、どのように経過していくかをみていきましょう。

1、陣前の戦闘
 戦闘初期の段階においては、敵の前進にともない、砲兵をもってできる限り遠距離より射撃を開始し、敵戦力の減殺を図る、というのが一般的な戦闘方法です。しかし、状況によっては敵を奇襲するために、指揮官の所望の時期まで、砲兵などの射撃を抑制するという方法をとることもあります。
 この時、敵の前進と我が警戒部隊との状況を的確に把握して、機動打撃の好機を策することに、注意しなくてはなりません。この初期の段階においても、特に有利な状況と判断される場合には、陣前の戦闘時であっても、敵の暴露した側面などに対して攻撃に出る、ということも一つの手です。
2、陣内の戦闘
 この陣内の戦闘における警戒部隊、および拠点守備隊の戦闘の主眼は、積極的な火力戦闘と、近接戦闘によって、敵の侵入を混乱に導き、機動打撃の好機を作為するということにあります。つまり、機動打撃の好機を作るためには、守備隊、および警戒部隊の積極的な防御戦闘が、絶対に必要なわけです。各拠点は、たとえ孤立したとしても、抵抗を続けなくてはなりません。それによって、例えば側面を暴露させるなど、敵の攻撃態勢に隙を作らせ、そこに機動打撃を行なう、ということなのですね。そのために各拠点には独立戦闘能力を、与えなければならないわけです。
3、機動打撃
 上記のように拠点など、守備隊の果敢な戦闘の結果、生み出された成果を最大限に活かし、好機を捕捉したと指揮官が判断したならば、いよいよ機動打撃の開始となるわけです。この時の攻撃方向は、できるだけ敵の側背に対して行なうのが、戦術上の常道でしょう。機動打撃という行動は、1つの突破口を作ろうとするものとは限りません。敵の数方向からの突破、包囲に対処できるように準備することが必要でしょう。
 状況が許す場合には、守備隊の一部をもって、機動打撃部隊の相対戦闘力を強化することも考えられます。
 
 さて、ここまで何回も「機動打撃の好機」という言葉を使ってきましたね。では、その「好機」とはいったいどのような状況を言うのでしょう。ここでこの「好機」ということについて、お話しすることにしましょう。
 まず、敵が翼側、あるいは背後を暴露した時、というのがこれにあたります。例えば、ある拠点なり、守備隊を攻撃している場合、攻撃に気をとられることによって、敵が自身の側面や、背後を警戒することを怠っている状況をいうわけですね。
 これと似たような状況で、敵の正面が過度に拡大した時というのも「好機」の1つです。侵入地域が大きくなることによって、敵の部隊展開に弱点が生じてくるわけですね。そしてこの弱点に向かって、機動打撃をかける、というわけですね。
 そして、敵の攻撃部隊が混乱し、特に歩兵と戦車の分離などによって、その攻撃衝力が拡散されるなど、敵の攻撃方向が散漫となって、連係を失い、全体としての攻撃衝力が弱化している、という状況をいっているわけです。

 機動打撃に成功した後、防御戦闘がとる行動としては、次のようなものがあるでしょう。まず、一般的には、引き続いて残敵を掃蕩して、できるだけ、すみやかに防御態勢に復帰する、というものですね。また機動打撃によって、敵の主力を撃破したと認められる場合には、引き続き戦果を拡大するため、攻撃に転移するということも考えられます。そして敵が著しく弱点を暴露している場合には、態勢を建て直す余裕を与えないように、迅速に攻撃を行なうということも、考えるべきとされています。
(完)

コメント

2013年
03月27日
22:49

力作の日記 お疲れ様でした!!

2013年
03月28日
07:15

全部まとめて読み返すと

戦闘の教科書になっていて驚く

いい勉強をさせてもらいました

2013年
03月28日
09:24

3: U96

>ディジーさん
ありがとうございます。
書いているうちにいったいいつ終わるのだろうかと不安になってきましたが、無事、完結できました。安心しております。

2013年
03月28日
09:32

4: U96

>あおねこさん
ありがとうございます。

作戦の研究書はたくさんありますが、戦術の研究書は少ないです。

推薦できる書籍として、PHP文庫の松村劭(まつむらつとむ)著「戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方」があります。安価に戦術が学べますので手に取ってみて下さい。