おたくの為のSNS おたくMk2

U96さんの日記

(Web全体に公開)

2013年
02月25日
19:57

砲兵の運用について

質問
 (戦争ボード)ゲームに出てくる砲兵には、FPF(FINAL PROTECTIVE FIRE)、突撃破砕射撃とか防御支援射撃というような砲兵射撃が出てきますが、実際の戦闘において、これにあたるような射撃があるのでしょうか。また実際の戦闘での、砲兵の射撃ということを知りたいのですが。

解答
攻撃戦闘での砲兵射撃
 攻撃における砲兵の射撃は、攻撃以前と攻撃開始後の、2つの段階によって、次のように分けられます。

1、攻撃開始以前;攻撃準備射撃
 これは主力の攻撃準備を掩護し、攻撃開始を容易にするために行われる射撃であり、通常、攻撃準備射撃を行なうか、否かは、指揮官の判断にまかせれるものです。攻撃準備の進展度、敵情の獲得度、弾薬量などを考慮して、行なうか否かを判断するわけです。この時の目標は、主に敵砲兵、迫撃砲に対してであり、これが対砲迫戦とよばれているものです。

2、攻撃開始後;突撃支援射撃
 攻撃開始とともに、砲兵は第1線部隊の前進を容易にし、また突撃を成功させるために突撃支援射撃を開始します。
 この突撃支援射撃は、敵砲迫を制圧するとともに、第1線部隊の要求に応じて、その目標を有効に制圧しなければなりません。この時、特に突撃支援、突撃部隊の掩護、逆襲の破砕を重視することとなっています。
 この突撃支援射撃は、突撃目標付近の敵陣地に火力を集中して、敵を制圧し、突撃部隊がこの射撃に膚接して、突撃を開始できるように行なう射撃を意味しています。これは、敵第1線陣地、また敵陣内での突撃において、必要に応じて行なわねばなりません。この突撃支援射撃においては、特に、突撃部隊の行動に即応すること、そして、敵砲迫制圧のための射撃と、密接に調整することに、注意しなければなりません。
 また、突撃後の部隊掩護、逆襲破砕にあたっては、特に、予想される敵逆襲部隊の集結地、逆襲方向、逆襲支援の敵砲迫などを考慮して、行なうこととなっています。

防御戦闘での砲兵射撃
 防御戦闘でも戦闘の各段階によって、次のようにわけられます。

1、敵の攻撃開始以前;攻撃準備破砕射撃
 防御戦闘においては、まず砲兵の配置に巧みでなければなりません。敵攻撃部隊の、優勢な火力をかわしつつ、長時間にわたって、強力な火力戦闘が、行えるようにしなければならないからです。そのため、射撃陣地を秘匿し、分散させ、陣地変換なども常に考慮していなくてはなりません。
 この時期における射撃には、攻撃準備破砕射撃があります。この射撃は文字どおり、敵の攻撃準備を妨害するための射撃です。この射撃は指揮官の判断によって、行なうか否かを決定するもので、射撃目標としては、敵集結部隊、砲兵、指揮中枢などがあげられます。
 この射撃は、敵がいまだ戦闘準備ができていない脆弱な時期に、その好機を的確につかんで不意急襲的に、火力を集中して行なうもので、好機を獲得して行なった場合、敵に相当な効果を与えることができるとされています。しかしその反面、時期を失した攻撃準備破砕射撃は、敵に何等の効果も、与えられないばかりでなく、我が砲兵主力の配置を、敵に暴露することになり、後の防御戦闘を著しく不利にすることがあります。この射撃を行おうとする時には、このことを頭においておかなければなりません。

2、敵の攻撃前進中
 通常は、敵が射程に入りしだい、たとえ遠距離であっても射撃を開始し、敵の前進を妨害するとともに、敵攻撃部隊の減殺を図ることとされています。しかし、不意急襲的に火力を発揮しようと、指揮官が判断した場合には、これを行なわないこともあります。この時期における敵砲迫に対する射撃も同様です。

3、敵の突撃開始後;突撃破砕射撃
 敵がいよいよ、我が陣地に突撃を開始したなら、突撃破砕射撃を行ないます。この突撃破砕射撃とは、敵の突撃を破砕するために、陣地の直前に最大火力を発揮できるように、あらかじめ準備しておいた射撃のことをいいます。また陣地の直前ばかりでなく、陣内の要点にも、設定することがあります。
 また、突撃破砕射撃ばかりでなく、敵の砲迫制圧、指揮中枢、あるいは観測所に対する射撃も、忘れてはなりません。逆襲を行なう場合には、それに対する協力射撃も重要となります。

コメント

2013年
02月25日
20:14

何事も頭を使わないとダメなんですね^^
兵隊さんも色々と覚えないといけないんだ。

実際の戦闘ではセオリーが大事な気がします。
アニメばかり見ていると、奇策を考えてしまうw
 最近の銃撃戦のあるアニメでは「ヨルムンガンド」が好きでした。

2013年
02月25日
20:28

2: U96

>ディジーさん
奇策も大事です。ちょっとしたコツを踏まえていれば、やってみる価値はあるのではないでしょうか・・・

推薦したい書籍があります。PHP文庫、松村劭(まつむらつとむ)、「戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方」です。「河はどこから渡ると戦闘が有利になる?」等、問題集を解きながら、楽しく戦術、作戦、戦略が安価に学べます♪

2013年
02月25日
21:09

現代の日本では陸上自衛隊の野戦特科職種がこれにあたるんでしたか?
ちょうど親戚のおじさんが同じ職種ですが「俺たちは言われた場所に弾を撃ち込むだけだから楽勝な仕事だ」と言っておりました…
私がいる航空とはまったく畑違いなので陸上は大変だな…と毎回思っています。

2013年
02月25日
21:51

4: U96

>しえらさん
私はウォーゲームのサークルが縁で自衛隊の砲兵学校の先生と親しくしていた時期があります。その先生は実際のゴラン高原を視察したうえで、SPI社の「ゴラン」というボードゲームをプレイしていました。・・・実に使えます。紙の戦争ボードゲーム!

2013年
02月25日
22:15

これがいわゆる「防御戦闘での砲兵射撃」ですよね。


攻撃準備射撃


こっちは支援射撃っぽいです。


訓練風景


ソ連軍の防御射撃


攻撃時には「いかに進撃の障害を取り除くか」、防衛時には「いかに防衛ラインを突破されないようにするか」で射撃の質が異なるんですね。
特に攻撃時の射撃は、いかに敵陣の配置を把握するかという斥候の能力と、風を読んで精確に目標を撃破するかの弾道計算・照準能力が必要になる訳で……。
当初コンピュータが「砲撃の弾道計算用」として開発されたのも判るような気がします。

2013年
02月26日
06:59

6: U96

>咲村珠樹さん
おお!これは分かりやすいですね。よい教材となりました。ありがとうございます。

2013年
02月26日
10:58

7: 退会済ユーザー

野砲は戦場の女王と言うのを昔読んだ本に書いてありました。
個人的には自走砲が好きです。

2013年
02月26日
17:40

8: U96

>さかぐちさん
それはソ連軍が言っていたのではなかったでしょうか?

私も自走砲好きです。150mm級だと東京から静岡まで砲撃できるのですよね・・・