坂井三郎氏が最も強調することの一つは次のことです。「真の名人は、めったに格闘戦には入らない。格闘戦とは窮地に入ったときの脱出法と心得よ」あるいは次のようにも言っております。「巴戦は苦労を重ねて一機墜とすだけ。空戦は据え物斬りと心得よ。スーッと寄っていって、パッと斬る。これが極意である」
実際、第一次大戦以後現代でも、戦闘機が墜とされるのは、五機に四機は不意打ちのためだと言われています。坂井氏に言わせれば、「相手にとって不意打ち、こちらから見れば先手である」。だから目が重要なのです。
ちなみに現代の空中戦はミサイルが主力です。そしてレーダーが目の代りをします。これで見ると八○キロメートルぐらい先が見えるようです。東京上空から館山や小田原の上空を見て勝負すると思うとよいでしょう。
第二次大戦の頃は肉眼です。見える距離は戦闘機相手で一五キロメートルぐらいです。千葉・東京間、東京湾の東西幅、の半分ぐらいの距離です。坂井氏は二五キロメートルぐらいで見つけていたようです。この一○キロメートルの差は圧倒的な強みです。
戦闘空域では第一発見者が編隊の先頭に出ます。だから坂井氏は常に先頭にいました。
見つけた相手には密かに忍び寄る。相手から見えない経路を伝って近づきます。
…「左前方、私たちより約千メートルほどの上空に、敵機らしい一機が、悠々と巡航速度で飛んでいるではないか。自慢の私の視力が発見したのだから、もちろん敵は、まだこちらには気がつかない。私たちは、全速で敵の真うしろにはいり、敵の死角(胴体の真下)にかくれながら、徐々に高度をあげていった。私のこの戦法を知っている部下は心得たもので、いつものとおり、二番機は左後上方と、三番機は右後上方と、それぞれ二百メートルの間隔で私をまもってういてくる」。
気づいていない相手に近寄って一撃で墜とす。これは坂井氏の得意技ですが、これこそ空戦のもっとも正統的な技です。「間合い遠ければするすると寄って打つべし」
先に引用した部分は坂井氏が「落穂拾い」と呼ぶ戦法です。当時坂井氏は、戦闘地域上空高くに、相手の見張りがひそんでいることを感づいていました。この機は空戦圏外にいて、全軍の指揮をとっていたようです。
坂井氏はこれで、六、七機墜としたと言っております。
コメント
11月03日
23:46
1: 退会済ユーザー
真の名人は、めったに格闘戦には入らない。
真の名人は波動拳を撃ちまくり、
相手をジャンプさせて昇龍拳で迎撃する~~
(違うやろ)
11月04日
08:23
2: U96
>倶利伽羅いちろうさん
これからも坂井三郎氏の必殺技を書いていきますね…
11月04日
13:12
3: あおねこ
坂井三郎氏の言葉は死線を生き抜いた本物の凄みを感じるときがあります
11月04日
19:35
4: 退会済ユーザー
マルセイユさんはやっぱ変わり者だったんでしょうかねぇ‥‥。
一撃離脱の逆なんですね。仕事人みたいにこっそり後ろから近づいてブスリ。
しかし超人ですね、坂井三郎氏。
11月04日
19:45
5: U96
>あおねこさん
まさに大空のサムライですね…
11月04日
19:47
6: U96
>フロッガーさん
…超人ですねえ…坂井三郎氏(^^♪