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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
10月09日
20:41

海大型潜水艦 テッヘル博士の招聘

 巡潜・機雷潜はドイツの図面により着工が出来たのですが、高速潜(艦隊型潜水艦)は日本海軍が独自に開発せざるを得なかったので、潜水艦建造の先進国ドイツより権威者を招聘してアドバイスを受ける事が決定しました。
 その作業がどの範囲であったかは明らかでないのですが、1924年(大正13年)12月から4ヶ月間、川崎重工の招きで、ドイツのゲルマニア社の潜水艦開発者、H・テッヘル博士が来日しました。
 この時期は試作艦の伊51(海大Ⅰ型)・伊52(海大Ⅱ型)に続き、量産型の伊53(海大Ⅲ型a)型の内4隻が竣工していました。
 テッヘル博士は大学教授ではあるが、大型潜水艦の設計理論に豊富な知識を有している事から、高速潜(艦隊型潜水艦)の設計に対して、排水量・馬力・速力の3要素の相互関係について、いかなる見解を持つかを聞き出す事が招聘の目的でした。
 日本側の窓口は伊53(海大Ⅲ型a)の設計責任者、穂積律之助造船中佐と船体抵抗研究者の徳川武定造船少佐の2名でした。
 まず、初めに機関出力3000馬力、魚雷兵装、艦首6門・艦尾2門、14センチ砲1門、航続距離5000海里の性能を有している場合、どの程度まで高速化出来るか?と質問したところ、テッヘル博士は計算尺で計算し、排水量1800トン・速力19.5ノットと回答しました。
 次に艦首形状や冷凍機の配管などの質疑応答が続き、さらにはテッヘル博士から宿題が出され、穂積中佐が解答を作成するなどして会議が進められたらしいです。
 テッヘル博士が潜水艦の高速化対策として示した事は、水中抵抗の減少・狭長艦型の採用・艦首形状の改善・主機(もとき:エンジンの事)の軽量小型化の4点でした。
 この意見は早速設計に取り入れられ、未起工の潜水艦は巡潜型のような艦首に変更されました。

コメント

2012年
10月09日
22:03

ここは潜水艦の勉強をするところなのですねっ!
これでもお仕事で重工業関係にちょびっと関わる身、いつかきっと役に立つ日が来るに違いない・・・?
計算尺は使ったの事ないんですよね。一度勉強してみようかな?

2012年
10月09日
22:08

2: U96

>宜宜さん
…潜水艦の技術史の勉強をするところです…