海大型潜水艦の歴史は、「ディーゼル機関との格闘の歴史」と言っても過言では無い位で、機関科の技術陣は苦難の連続でした。
これは当時、日本のディ-ゼル機関の製造技術が低く、大出力主機(もとき:エンジンのこと)は作れず外国に発注していたのですが、これを国産化すると、日本の工作水準では精密機器が得意なスイスのメーカーやドイツのメーカーと同じ物が出来る筈もなく、各パーツの精度が低くて故障が連続し、信頼性にはほど遠いものしか作れませんでした。
特にボール・ベアリングの精度は酷く、真円度を計測すると「2けた、3けたも違うものがざらにあった」と言うから、驚きものでした。
これは、当時の日本は研磨を手で行っていたのに対し、ドイツやスイスなどでは自動研磨装置が普通に導入されていたからでした。
この工作機で研磨される製品は、バラツキが1000分の1ミリが当たり前で、これ以下は不良品扱いだったのです。このことを考えると、国産化したエンジンが故障だらけというのもうなずけるものです。
主機の国産化(ライセンス化)から7年の歳月をかけて、初めて独自に開発した艦本式複動ディ-ゼルは、ライセンス・タイプに比べて1.5倍の出力が発揮出来たのですが、この新型ディーゼルも採用を急ぐあまり、技術的に未完成な部分を残されていて、架構溶接部の亀裂やピストン棒接続ネジの折損、シリンダーの腐食・亀裂等の重大なトラブルが発生し、それが解決したのは昭和13年以降でした。
コメント
10月08日
18:50
1: えんぶん
私が勤めている会社で使う機械はほとんど海外メーカーが多いのですが、今では日本のディーゼルエンジンを採用していますね。勤勉な国、日本さすがです!
10月08日
19:40
2: U96
>えんぶんさん
私は現在、印刷の専門学校に通っているのですが、単色印刷機はドイツ製ハイデルベルグ社の物、2色印刷機は日本製リョービのものです。…日本もやるようになったと思います。
10月11日
01:29
3: ちはや
たしかに、ベアリングを手で作っているようではお話になりませんね……。基礎技術が低いのはいかんともしがたい。
10月11日
19:04
4: U96
>ちはやさん
ベアリングなんて巨大な石臼のようなものがあれば、できるのです!…それすら当時の日本は無理だったのですね…