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U96さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
10月06日
20:52

零戦 空母からの発進・着艦





…早速、発艦してみましょう。空母から飛び立つシチュエーションはいろいろありますが、まずは「発艦・着艦訓練」を想定しましょう。
 飛行甲板上にはあなたの零戦が準備されています。空母の場合、飛行前点検は省く場合がほとんどです。。それは格納甲板で軽整備がなされ、飛行甲板上でエンジンの試運転を含む重整備、点検が終わっているからです。
 飛行機のエンジンには暖気運転が必要です。陸上基地であれば列線から滑走路へ向う移動(タキシング)が暖気運転の役目をしていましたが、空母では移動している場所はありません。そこで、暖気運転は整備員がやってくれています。
 あなたは艦橋根本の搭乗員待機室から出てきて、飛行機に乗り込みます。
 操縦席でも、空母の上では面倒な点検はしません。なぜなら、空母からの発艦は一刻をあらそうことが多いからです。整備員を信用しましょう。
 エンジン始動は、あなたの「イナーシャ回せ」の一言で整備員が弾み車を回します。場合によっては整備員があらかじめエンジンをかけておいてくれます。
 もちろん、エンジンを回したら計器類のチェックをしますが、10秒もあれば一通り見渡せます。
 いよいよ発艦です。
 空母の艦首では、風の方向を示す発煙剤がたかれるか、水蒸気を吹き出させています。煙はまっすぐに飛行甲板上を流れているはずです。空母からの発艦、あるいは着艦の便利なところは、横風を心配する必要がないというところです。空母の方で風上を向いてくれます。
 基本的な手順は通常の発進と同じです。AC最濃、プロペラピッチ低、さらに、空母からの発艦ではフラップを20度だけ降ろします。そして、フルスロットルでブレーキを踏んでエンジンの回転が上がるのを待ちます。「発艦良し」となったらブレーキを離します。零戦のための飛行甲板は50メートルしかありません。
 空母そのものが20ノット近い高速で進んでいますから、零戦はすぐに浮き上ります。あるいは、発進時の加速中に飛行甲板が上下動して空中にジャンプすることもあります。不安かもしれませんが大丈夫です。離陸滑走中、最も大きな抵抗となるのは「タイヤ」です。放り出されると、タイヤが転がる「抵抗」がなくなるわけですから、機はスムーズに加速し、軽々と上昇します。
…さて、着艦です。飛行周回高度(飛行機によって違いはありますが、空母の場合、1000フィート)に達したら、第一旋回します。エンジンを巡航状態に調整。空母が左後方45度に来たら第二旋回、左90度旋回します。空母を左に見ながら空母の進行方向と逆に進みます。原則的に(原則的に、というのは通常は一時に一機しか最終進入経路に入れないため、二機入れて、最初の機が飛行甲板上でもたもたしていたら即衝突するので)もう一度、空母が左に来たら第三旋回。着艦許可(緑色の発光信号)が出たら、さらに左旋回して最終進入経路に入ります。
 ほかに最終経路、飛行甲板上に機がいない、となったらいよいよ着艦です。
 エンジンを調整し、脚を出して、着艦フックを下ろします。
 着艦指示板(灯)があるので進入角度はわかりやすいですが、空母はゆれています。あくまで目安にしかなりません。
 エンジンを絞り、空母後端の着艦ワイヤー目指して降りていきます。飛行甲板のワイヤー位置両側に着艦指示用の白いペンキが塗られています。この間に降りられれば成功です。
 緊張の一瞬です。
 高度のテクニックが必要ですが、訓練を受けたあなたならできるはずです。落ち着いて、機の速度と高度を調整します。
 艦尾を行きすぎたら着艦します。
 操縦桿を引きつけ、三点着陸姿勢をとりましょう。着艦フックがワイヤーを捕らえ、主脚が甲板に着地すれば成功です。多少、叩きつけられたとしても、着艦ワイヤーを引っかけられれば問題ありません。
 降りたのが空母の手前なら後端に激突します。
 右すぎても、左すぎても海に落ちます。
 行きすぎれば着艦フックはワイヤーを引っかけられません。ワイヤーは十数本が何メートルかごとに張られていますが、この間に正確に着艦しなければなりません。これができるよに艦載機搭乗員は地上で「定点着陸」と言って一ケ所に着陸できるように徹底的に訓練を受けます。できなければやはり海に落ちます。
 姿勢は三点着陸を絶対に守りましょう。もし、フックがワイヤーを引っかける前に、主脚が飛行甲板に触れようものなら、ワイヤーに脚をからめ取られてひくり返ります。
 今はあなたの発艦・着艦訓練中ですので、無事着艦できると、整備員が走り寄ってきて、もう一度発進するためにワイヤーを外してくれます。あなたはフックを巻き取り、エンジンのパワーを上げて二度目の発艦訓練に入ります。

コメント

2012年
10月07日
02:26

着艦フックを引っ掛ける際に、着地した時点でエンジンを最大出力にすることを忘れないようにしてくださいね。引っ掛けそこなった時、すぐに飛び上がり、やり直しをする為です。
……これだとさばける機数が少なくなってしまうので、考えだされたのが斜め甲板(アングルドデッキ)です。飛行甲板前方に着艦した機体を置いておき、補給をしながら斜め甲板で着艦を続行できる為、飛躍的に効率が良くなりました。

……それが、最新式ではこんな有様です。電磁カタパルトも実用化寸前で、次世代空母ジェラルド・フォード級に搭載予定です。

2012年
10月07日
04:05

2: U96

>咲村珠樹さん
うへえ…私は現代戦が不得手でして…
まことにありがとうございます!
…それにしてもF-35は維持費がべらぼうだと聞きましたが本当ですか?

2012年
10月07日
22:45

もともと空から入ったもので、逆に船とか陸戦よりは得意です(^^;
歴史も不得意じゃありませんが、現代ものの場合、本職の人に直接聞けますし……。

F-35ですが、まだ就役していないので、実際に維持費がどうなるかは判りません。運用して初めて判るものですからね。
ただ、現時点で維持費以前の開発費がべらぼうにかかってます。
開発が難航しているのは、この動画で紹介したB型(海軍空母用)とC型(海兵隊用垂直離着陸機)ですが、困ったことに、オスプレイと同じく「他に代わりのない機種」なので、それでも開発を続けなければならないのです(^^;

2012年
10月08日
15:32

4: U96

>咲村珠樹さん
なるほど!ありがとうございました。